Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
しんしゅうこうけつじょう
神州纐纈城
国枝 史郎
Lisez 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 188 242 caractères · 380 écrans
五
「良人を返せ!」
「子供を返せ!」
「咒われておれ! 咒われておれ!」
一筋泣き声が響いて来た。つづいて笑う声が聞こえて来た。
歩かなければならなかった。見世物にならなければならなかった。
「お父様!」と突然庄三郎は云った。「おお、お母様! お母様! どこにおいででございます! どこにおいででございます! 私はこんなに探しております! 私はこんなに探しております!」
五
歩かなければならなかった。
往来からは塵埃が立った。雲のように天に立ち昇った。
彼は死にたくなくなった。そのくせ肉体も精神も、ほとんど死にかかっているのであった。だから死にたくなくなったのであろう。
「これは不当だ! 不当すぎる! 誤解の下に殺されるなんて!」
弁解しようと決心した。血だらけの体を引き延ばし、群集へ向かって手を振った。
「聞いてくれ、聞いてくれ、静かに聞け! 俺は土屋庄三郎だ! 去年の春だ、桜の夜だ、甲府の神社へ参詣に行った。その時年寄りの布売りがいた。それが俺に売り付けたのだ、纐纈布を、紅巾を! それには父の名が書いてあった。幼年で別れた父の名が。そこで俺は脱走した。甲府の館を、武田家を! そうだ父を見付けようために。