Classiques japonais avec furigana
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しんしゅうこうけつじょう
神州纐纈城
国枝 史郎
Lisez 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 188 242 caractères · 380 écrans
そうして私はこう思うようになった。戦争以外、武功の他に、何かもっと値打ちのあるものが、この世になければならないとな……」
「ああ、それでお父様は、薬師になられたのでございますね」こう云ったのは松虫であった。
「まずそうだ。がしかし、それまでになるには尚いろいろ、苦しみもしたし悲しみもした。……だが今はまず平和だ。そうして順境と云ってもいい。……ただお前達二人の者が、私の後を継いでくれたらな」
この時コツコツと主屋に通ずる板扉を打つ音が聞こえて来た。
「おはいり」
と静かに蔵人は云った。
と、すぐ扉がひらかれて、つつましく姿を現わしたのは、醜い傴僂の小男であった。
「小源太か、何か用かな?」
「新入りの患者がございますので」
「ほほう、こんな深夜にな」蔵人はその眼をひそませたが、「で、どんな人物かな?」
「はい、一人は老人で、もう一人は侍童らしゅうございました」
「なんという名か、訊いたであろうな?」
「はい、常陸の爺だと、ただこのように申されました」
「常陸の爺? で、病名は?」
「脱疽だそうでございます」
「脱疽、なるほど、それならよい」
「まずとりあえず二号病舎へ、差し置きましてございます」