Classiques japonais avec furigana
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あめしょうしょう
雨瀟瀟・雪解 他七篇
永井 荷風
Lisez 雨瀟瀟・雪解 他七篇 (あめしょうしょう) de 永井 荷風 (ながいかふう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 145 414 caractères · 289 écrans
その時は愚僧もいつか年四十を越し、檀家中の評判も至極宜しく、近郷の百姓供一同愚僧が事を名僧知識のやうに敬ひ尊び候やうに相なりをり申候。何事も知らぬが仏とは誠にこの事なるべく候。それにつけても月日経ち候につけ、先年溜池にて愚僧が手にかゝり相果て候かの得念が事、また百両の財布取落し候侍の事も、その後は如何相なり候哉と、折々夢にも見申候間、所用にて江戸表へ参り候節はそれとなく心を付けをり候へども、一向にこれと申すほどの風聞も無之模様にて、更に様子相知れ申さず候故、次第に安心も致すやう相なり候事に御座候。なほまた愚僧が先年寄宿罷あり候芝山内青樹院の様子につきては、その後聞き及び候処によれば、愚僧突然行衛不明に相なり候に付き、その節学寮にては、心あたり漏れなく問合せ候ても一向に相知れ申さず候につき、殺され候歟、または神隠しにでも遇ひ候歟、いずれにも致せ、不憫の事なりとて、雲石師は愚僧が出奔の日を命日と相定め、寮内に墓まで御建てなされ候趣に御座候。さて、愚僧は右の如く僅一、二年の間に妻妾両人共喪ひ申候に付き、またもや妾を囲ひたきものと心には思ひをり候ものゝ、早や分別盛の年輩に相なり候ては、何となく檀家を始め人の噂も気にかゝり候て、血気の時のやうに思切つた事も出来兼ね、唯折もあらばと、時節をのみ待ち暮し申候。