Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(一)

吉川 英治

Leggi 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 231.525 caratteri · 463 schermate

Aozora Bunko

三

「……分らない」

「私は泥棒をしていたの」

「えっ?」

「戦のあった跡へ行って、死んでいる侍の持っている物――刀だの、笄だの、香い嚢だの、なんでも、お金になる物を剥ぎ取って来るんですよ。怖いけれど、食べるのに困るし、嫌だというと、おっ母さんに叱られるので――」

三

まだ陽が高い。

武蔵は、朱実にもすすめて、草の中へ腰をおろした。伊吹の沢の一軒が、松の間を透かして、下に見える傾斜にある。

「じゃあ、この沢の蓬を刈って、艾を作るのが職業だと、いつかいったのは嘘だな」

「え。うちのおっ母さんという人は、とても贅沢な癖のついている人だから、蓬なんか刈っているくらいでは、生活がやってゆけないんです」

「ふウむ……」

「お父っさんの生きていた頃には、この伊吹七郷で、いちばん大きな邸に住んでいたし、手下もたくさんに使っていたし」

「おやじさんは、町人か」

「野武士の頭領」

朱実は、誇るくらいな眼をしていった。

「――だけどさっき、ここを通った辻風典馬に、殺されてしまった……。典馬が殺したのだと、世間でも皆いっています」

「え。殺された?」

「…………」

頷く眼から、自分でも計らぬもののように、涙がこぼれた。