Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(一)

吉川 英治

Leggi 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 231.525 caratteri · 463 schermate

Aozora Bunko

二

などと、暢気なことをたずねた。

お通は、この大将の泥鰌ひげが、いつぞやの晩のいやらしいことがあって以来、見るのも虫酸が走ってならなかった。

「買い物に」

それも投げ捨てるようにいって、見向きもせず、本堂前の高い石段を駈け上がって行った。

二

沢庵は、本堂の前で、犬と遊んでいた。

お通が、犬を避けて走って行くのを見て、

「お通さん、飛脚が届いているよ」

「え……わたしに」

「留守だったから、預かって置いた」

袂からそれを出して、彼女の手へ渡しながら、

「顔いろが悪いが、どうかしたのか」

「道ばたで、死人を見ましたら、急にいやな気持になって――」

「そんなもの見なければいいに。……だが、眼をふさぎ道をよけても、今の世の中では、到るところに、死人が転がっているのだから困るな。この村だけは、浄土だと思っていたが」

「武蔵さんは、なぜあんなに、人を殺すんでしょう」

「先を殺さなければ、自分が殺される。――殺される理もないのに、無駄に死ぬこともない」

「怖い! ……」

戦慄して、肩をすぼめ、

「ここへ来たら、どうしましょう」

山にはまた、うす黒い綿雲が降りていた。お通は無自覚に手紙を持って、庫裡の横にある機舎へかくれた。