Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(一)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 231.525 caratteri · 463 schermate
四
四
「た……誰じゃ……誰かここに殺されているがの」
お杉のただ事でない顫き声に、
「えっ?」
お通は、縁側まて行燈を提げて出た。お吟も怖々大地をのぞいてみた。
死骸は、武蔵でもなし又八でもなかった。この辺に見馴れない武士なのだ。戦慄のうちにも、ほっとしたように、
「下手人は、何者じゃろう?」
お杉は、呟いて、それから急にお通へ向って、関りあいになるとつまらないから帰ろうといい出した。お通は、この老母が息子の又八を盲愛する余り、ここへ来ても酷いことばをいいちらしたのみで、お吟が可哀そうでならなかった。何か事情もあろうと思うし、慰めてもやりたいので、自分は後から帰るというと、
「そうか。勝手にしやい」
膠もなく、お杉はひとりで、玄関から出て行った。
「お提燈を」
と、お吟が親切にいうと、
「まだ、本位田家の婆は、提燈を持たねば歩かれぬほど、耄碌はしておらぬ」
と、いう。
まったく、若い者にも負けない気の老母だった。外へ出ると、裾を端折って夜露のふかい中をてくてくともう歩み出して行く。
「婆。ちょっと待て」
新免家を出ると、すぐ呼びとめた者がある。彼女のもっとも怖れていた関り合いがもう来たのだ。