Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(一)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 231.525 caratteri · 463 schermate
優曇華
一
「な、なにッ、宮本?」
優曇華
一
吉岡家にとって、きょうはなんという悪日か。
この西洞院西ノ辻に、四条道場が創まって以来の汚辱を兵法名誉の家門に塗ったものとして、今日を胆に銘記しなければならない――と、心ある門人たちは、沈痛きわまる面をして、もういつもならそれぞれ黄昏れを見て帰り途へちらかる時刻の道場に、まだ、暗然たる動揺を無言にもって或る群れは板敷きの控えにかたまり、或る群れは一室のうちに、墨のごとく残っていた。一人も帰らずに残っていた。
門前で、駕でも止ったような物音がすると、
「お帰りか」
「若先生か」
人々は、暗い無言をやぶって、立ちかけた。
道場の入口で、憮然と、柱によりかかって立っていた一人が、
「ちがう」
と、首を重く振る。
そのたびごとに、門人たちは、沼のような憂暗にかえった。或る者は、舌うちを鳴らし、或る者は、そばの者に聞えるような嘆息をし、忌々しげな眼を、夕闇の中に、ぎらぎらさせていた。
「どうしたのだ? いったい」
「きょうに限って」
「まだ若先生の居所はわからんのか」
「いや、手分けして方々へ捜しに走らせているから、もう追ッつけ、お帰りになるだろう」