Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(一)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 231.525 caratteri · 463 schermate
二
「ふしぎだ」
武蔵が、ここの地を踏んだのは般若野のことがあってから十日ほど後であった。附近の笠置寺とか浄瑠璃寺とか、建武の遺跡などを探って、宿も、どこかへ取り、充分に心身の静養もして、その宿から散歩のていで出かけて来たものらしく、ほんの着流しであり、いつもの如く腰に取ッついている城太郎も、藁草履を穿いていた。
民家の生活を見、畑の作物をながめ、また往きあう者の風俗に注意し、そのたびに、武蔵が、
「ふしぎだ」
何度も呟くので、
「おじさん、何がふしぎ?」
と、城太郎はむしろ武蔵の呟きこそ、不思議として、こう訊ねた。
二
「中国を出て、摂津、河内、和泉と諸国を見て来たが、おれはまだこんな国のあることを知らなかった。――そこで不思議といったのだよ」
「おじさん、どこがそんなに違っているの」
「山に樹が多い」
城太郎は、武蔵のことばに、吹き出して、
「樹なんか、どこにだって沢山生えているぜ」
「その樹が違う。この柳生谷四箇の庄の山は、みな樹齢が経っている。これはこの国が、兵火にかかっていない証拠だ。敵の濫伐をうけていない証だ。また、領主や民が、飢えたことのない歴史をも物語っている」