Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(一)

吉川 英治

Leggi 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 231.525 caratteri · 463 schermate

Aozora Bunko

怯むまいぞ」

「――武蔵っ、いざッ」

「いざッ」

二人は遠方から切っ先をそろえてこう挑んだ。しかし、当の武蔵は、それに応じて来ないのみか、唖のように沈黙しているので、お杉ばばは、

「怯じたかよッ! 武蔵っ」

ちょこちょこと、横のほうへ駈け廻って斬り入ろうとしたのである。ところが、石にでも躓いたとみえ、両手をついて、武蔵の足もとへ転んでしまったので、

「あっ、斬られるぞ」

周囲の人垣が、俄然、噪ぎ立って、

「早く、助けてやれっ」

叫んだが、権叔父すら度を失って、武蔵の顔を窺がっているにとどまる。

――だが気丈な婆だ。抛り出した刀を拾って持つと、自分で起き上がり、権叔父のそばへ跳んで返って、すぐ構えを武蔵に向け直した。

「阿呆よッ、その刀は、飾りものか、斬る腕はないのか!」

仮面のように無表情であった武蔵は、初めて、その時、

「ないっ」

と、大きな声でいい放った。

そして、彼が歩き出して来たので、権叔父と、お杉ばばは、両方へ跳びわかれ、

「ど、どこへ行きやる、武蔵ッ――」

「ないっ」

「待ていっ、汝れ、待たぬかよ!」

「ない」

武蔵は、三度も同じ答えを投げた。横も向かないのである。