Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(一)

吉川 英治

Leggi 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 231.525 caratteri · 463 schermate

Aozora Bunko

おとし櫛

一

「辻風だ、はやく灯りをつけろ」

と中の一人が怒鳴っていた。

おとし櫛

一

土足のまま、どやどやと上がってきた、寝込みを衝いて来たのである。納戸、押入、床下と、手分けをして掻廻しにかかる。

辻風典馬は、炉ばたへ坐りこんで、乾児たちの家捜しするのを、眺めていたが、

「いつまでかかっているのだ、何かあったろう」

「ありませんぜ、何も」

「ない」

「へい」

「そうか……いやあるまい、ないのが当り前だ、もうよせ」

次の部屋に、お甲は背を向けて、坐っていた、どうにでもするがいいといったように、捨て鉢な姿で。

「お甲」

「なんですえ」

「酒でも燗けねえか」

「そこらにあるだろう、勝手に飲むなら飲んでおいで」

「そういうな、久し振りに、典馬が訪ねて来たものを」

「これが、人の家を訪ねるあいさつかい」

「怒るな、そっちにも、科があろう、火のない所に煙は立たない。蓬屋の後家が、子をつかって、戦場の死骸から、呑み代を稼ぐという噂は、たしかに、俺の耳へも入っていることだ」

「証拠をお見せ、どこにそんな証拠があって」

「それを、穿じり出す気なら、何も朱実に前触れはさせておかぬ。野武士の掟がある手前、一応は、家捜しもするが、今度のところは大目に見て宥しているのだ。