Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(一)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 231.525 caratteri · 463 schermate
五
「嘘だい!」
と、向うの隅から城太郎が異議をいって膨れる。
「なぜ女などを打つ」
武蔵が叱ると、
「だって、そのおたんこ茄子が、おじさんのことを、弱いっていったからさ」
「嘘、嘘」
「いったじゃないか」
「旦那はんのことを弱いって、誰もいいはしないよ。おまえが、おらのお師匠様は日本一の兵法家で般若野で何十人も牢人を斬ったなんて、あんまり自慢して威張るから、日本一の剣術の先生は、ここの御領主様のほかにないよといったら、何をって、あたいの頬を撲ったんじゃないか」
武蔵は、笑って、
「そうか、悪い奴だ。後で叱っておくから、小茶ちゃん、勘弁してやれ」
城太郎は、不服らしい。
「おい」
「はい」
「湯に入ってこい」
「お湯はきらいだ」
「おれと似ているな。だが、汗くさくていかん」
「明日、河へ行って泳ぐ」
日が経って馴れるにつれ、この少年の生れつきにある強情な性格は、だんだん芽を伸ばしていた。
だが、武蔵は、そこも好きだった。
膳につく。
まだ膨れている。
盆を持って給仕している小茶も口をきかない。睨めっこなのだ。
武蔵も、この数日は、思うことがあって、とかく心がそれに囚われている。