Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(一)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 231.525 caratteri · 463 schermate
後へもどれ」
「もどらん」
武蔵は、自分の側へ、ひたと貼りついたようにしている城太郎へ向い、
「おまえは、彼方の松の下にいるがよい」
この辺はもう本丸の玄関に近い前栽らしく、所々に、枝ぶりのよい男松が這っていて篩にかけたような敷き砂が光っていた。
武蔵にいわれて、城太郎はその袂の下から勢いよく走った。そして、一つの松の木を楯にして、
(そら、お師匠様が、何かやりだすぞ)
般若野における武蔵の雄姿を思いだし、彼もまた、針鼠のように筋肉を膨らませていた。
――見ると、その間に、庄田喜左衛門と出淵孫兵衛のふたりが、武蔵の左右へ寄り添い、武蔵の腕を両方から逆に取って、
「もどれ」
「もどらぬ」
同じことばを繰返していた。
「どうしても戻らぬな」
「む! 一歩も」
「うぬっ」
前に立って、木村助九郎が、ついにこう癇を昂げ、刀の柄を打ち鳴らすと、年上の庄田と出淵の二人は、まあ待てとそれを止めながら、
「もどらぬなら戻らぬでよろしい。しかし、汝は、何処へ行こうとするか」
「当城の主、石舟斎へ会いにまいる」
「なに?」
さすがの四高弟も、それには愕として顔いろを革めた。奇怪でならなかったこの青年の目的が、石舟斎へ近づくことであろうなどとは、誰も考えていなかったのである。