Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(一)

吉川 英治

Leggi 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 231.525 caratteri · 463 schermate

Aozora Bunko

住職は、時々、橋廊架へ出て来て――

「お通は、どうしたっ?」

とわめいている。

「おらんはずはないわ。酌人が見えいでは、酒には及ばぬと、お客様はおっしゃるではないか。はよう捜して来うっ」

寺男はとうとう麓のほうまで、提燈をもって降りて行った。

沢庵は、ふと、機舎の戸を開けてみた。

お通はいた。機の上へ、俯つ伏していたのである。暗いなかに、ただ独り寂寞を抱きしめて。

「? ……」

沢庵は、見まじきものを見たように、しばらく黙っていた。彼女の足もとには、怖ろしい力で捻じ縒った二通の手紙が、呪咀の人形のように踏みつけてあった。

そっと沢庵は、拾い取って、

「お通さん、これは昼間来た飛脚文じゃないか、しまっておいたらどうだ」

「…………」

お通は、手にも触れない。かすかに顔を振るだけであった。

「みんなが、捜しているのだ。さ……気がすすまないだろうが、方丈へお酌に行っておやり、住持が弱っているらしい」

「……頭が痛いんです。……沢庵さん……今夜だけは行かなくてもよいでしょう」

「わしは、いつだって、酒の酌などに、其女が出るのをよいことだとは思うていない。しかし、ここの住持は世間人だ、見識をもって、領主に対し、寺の尊厳を維持してゆく力などはない人だからな。