Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵 (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 185.809 caratteri · 369 schermate
「おじさん、わ、わたし……どうしたらいいんでしょう」
人には話すまいと思って独り悩んでいた住吉での恥かしいことを、朱実のからだ中の怒りと悲しみは、どうしても、彼女の口からそれをいわせずにおかないのである。突然、丹左の膝にすがりつくと、まだうわ言の続きのように、嗚咽しながらあのことを喋ってしまった。
「……ふ、ム……」
丹左は熱い息を鼻の穴から洩らした。絶えてひさしい女性のにおいというものが、彼の鼻にも眼にも沁みる。このごろは、人間の灰汁というものが抜けきって、寒巌枯木にひとしい余生の肉体とばかり自分でも思っていた官能に、急に、熱い血でも注ぎこまれたような膨らみを覚え、自分の肋骨の下にも、肺と心臓がまだ生きていることをめずらしく思いだした。
「……ふーむ、吉岡清十郎というのは、そのような怪しからぬことをする奴かの」
問い返しながら、丹左も心のうちで、清十郎という人間を憎んでもあきたらぬ人間のように憎んだ。けれど、丹左の老いたる血を、それほど興奮させているものは義憤ばかりではなかった。ふしぎな嫉妬心のはたらきが、あたかも自分の娘が冒されでもしたかのように、彼の肩を怒らせるのだった。