Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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さんごくし

三国志(三)

吉川 英治

Leggi 三国志(三) (さんごくし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 312.452 caratteri · 628 schermate

Aozora Bunko

家族たちも、ちょっと困った顔はしたものの、ほかならぬ主人の親友なので、晩餐の支度にまぎれたまま打捨てておいた。

主人の董承は、先頃から書院に閉じこもったきり、どうしたら曹操の勢力を宮中から一掃することができるか、帝のご宸襟を安んじてご期待にこたえることができようか。朝念暮念、曹操を亡ぼす計策に腐心して、今も、書几によって思い沈んでいた。

「……おや。居眠っておられるのか?」

そっと、室をうかがった王子服は、そのまま彼のうしろに立って、何を肘の下に抱いているのかと、書几の上をのぞいてみた。

血で書いた白絖の文のうちに「朕」という文字がふと眼にうつった。王子服が、はっとしたとたんに、董承は、誰やら背後に人のいる気はいを感じて、何気なく振向いた。

「あっ、君か」

びっくりしたように、彼はあわてて几上の一文を袂の下にしまいかくした。王は、それへ眼をとめながら、

「――何ですか、今のは?」と、軽く追及した。

「いや、べつに……」

「たいそうお疲れのようにお見うけされますが」

「ちと、ここ毎日、読書に耽っているのでな」

「孫子の書ですか」

「えっ?」

「おかくしなさってもいけません。