Classici giapponesi con furigana
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さんごくし
三国志(三)
吉川 英治
Leggi 三国志(三) (さんごくし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 312.452 caratteri · 628 schermate
四
「さもなければ、やわか、汝ごときに敗れ去る陳宮ではない」と、傲然、云い放った。
曹操は、苦笑して、
「時に、ご辺は今、自分の身をどうしようと思うか」と、訊ねた。
陳宮は、さすがに、さっと顔いろに、感情をうごかして、
「ただ、死あるのみ。早く首を打ち給え」と、いった。
「なるほど、臣として忠ならず、子として孝ならず、死以外に、途はあるまい。しかしご辺には老母がある筈。――老母はいかにするつもりか」
そういわれると、陳宮はにわかにうつ向いて、さんさんと落涙した。
四
やがて、陳宮は、面をあげて、曹操の人情へ、訴うる如くいった。
「人の道として、幼少からわれも聴く。さだめし、足下も学びつらん。――天下ヲ治ムル者ハ人ノ親ヲ殺サズ――と。老母の存亡は、ただ足下の胸にあること。いかようともなし給え」
「老母のほかに、ご辺には妻子もあろう。死後、妻子の行く末はいかに思うか」
「思うても、是非ないこと、何も思わぬ。――が、我聞く、天下ニ仁政ヲ施スモノハ人ノ祭祀ヲ絶タズ――と」
「…………」
曹操は、何とかして、陳宮を助けたいと思っていた。
――というよりは、殺すに忍びなかったのである。