Classici giapponesi con furigana
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さんごくし
三国志(三)
吉川 英治
Leggi 三国志(三) (さんごくし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 312.452 caratteri · 628 schermate
四
しかも馬はすでに再び起たない。
逃げまどう味方の兵も、ほとんどこの河へ来て討たれた様子である。
曹操は、身一つで、ようやく岸へ這いあがった。
すると闇の中から、
「父上ではありませんか」と、曹昂の声がした。
曹昂は、彼の長子である。
一群の武士と共に、彼も九死に一生を得て、逃げ落ちてきたのであった。
「これへお召しなさい」
曹昂は、鞍をおりて、自分の馬を父へすすめた。
「いい所で会った」
曹操はうれしさにすぐ跳び乗って馳けだしたが、百歩とも駈けないうちに、曹昂は、敵の乱箭にあたって、戦死してしまった。
曹昂は、弊れながら、
「わたくしに構わないでお落ち下さい。父上っ。あなたのお命さえあれば、いつだって、味方の雪辱はできるんですから、私などに目をくれずに逃げのびて下さい」と、叫んだ。
曹操は、自分の拳で自分の頭を打って悔いた。
「こういう長子を持ちながら、おれは何たる煩悩な親だろう。――遠征の途にありながら、陣務を怠って、荊園の仇花に、心を奪われたりなどして、思えば面目ない。しかもその天罰を父に代って子がうけるとは。――ああ、ゆるせよ曹昂」
彼は、わが子の死体を、鞍のわきに抱え乗せて、夜どおし逃げ走った。