Classici giapponesi con furigana
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さんごくし
三国志(三)
吉川 英治
Leggi 三国志(三) (さんごくし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 312.452 caratteri · 628 schermate
六
それも迅速に運ばねば、焦眉の急に、意味ないことになりましょう」と、淮南の復命と共に、自分たちの意見をものべていた。
呂布は、当惑顔に、
「むすめをやるはいいが、今この重囲の中、どうして送るか?」
「ほかならぬ深窓の御方。それにはどうしても、将軍御みずから送りに立たねばかないますまい」
「むすめは、わが命につぐものだ。戦の巷はおろか、世の寒風にもあてたことのない白珠だ。よし、おれ自身、淮南の境まで守ってやろう」
「きょうは、凶神の辰にあたる悪日ですから、明日になされたがよろしいでしょう。――明夜、戌亥の頃を計って」
「張遼と侯成を呼べ」
呂布も、遂に心をきめた。二人の大将に、三千余騎を与え、軍中に車をひかせて、淮南へ供して行けといいつけた。
けれど、その車に、娘は乗せて出さなかった。敵の囲みを突破するまでは――と、呂布は自分の背に負って行った。何も知らない十四の花嫁は、厚い綿と錦繍にくるまれて、父の冷たい甲冑の背中に、確固と結びつけられていたのである。
六
寒月は皎々として、泗水の流れを鏡の如く照り返している。
氷山雪地。風まで白い。
戛、戛、戛――
人馬の影が黒く黒く。