Classici giapponesi con furigana
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さんごくし
三国志(三)
吉川 英治
Leggi 三国志(三) (さんごくし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 312.452 caratteri · 628 schermate
三
お服みください」
「……薬か」
片肱をついて、曹操は半身をもたげた。そして薬碗からのぼる湯気をのぞきながら、
「いつもと違うようだな。……匂いが」と、つぶやいた。
吉平は、ぎょっとしたが、両手で捧げている薬碗にふるえも見せず、なごやかな目笑を仰向けて答えた。
「丞相の病根を癒し奉ろうと心がけて、あらたに媚山の薬草を取寄せ、一味を加えましたから、その神薬の薫りでございましょう」
「神薬。……嘘をいえ。毒薬だろう!」
「えっ」
「飲め。まず其方から飲んでみせい。……飲めまい」
「…………」
「なんだ、その顔色は!」
がばと、起つや否、曹操は足をあげて、煎薬の碗と共に、吉平の顎を蹴とばした。
「この藪医者を召捕れっ」
次いで、彼の呶号がとどろいた。応っ――とばかり一団の壮丁は、声と共にとびこんできて、吉平を高手小手に縛りあげてしまった。
三
吉平の縄じりをとって、相府の苑にひき出した武士獄卒たちは、
「さあ、ぬかせ」
「誰にたのまれて、丞相に毒をさしあげたか」
と、打ち叩いたり、木の枝に逆しまに吊るしあげたりして拷問したが、
「知らん。むだなことを訊くな」
とばかりで、吉平は悲鳴一つあげなかった。