Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(一)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 231.525 caratteri · 463 schermate
その中には、分家の聟も、河原の権叔父も交じっていたし、また、ほかの縁類や小作人などもいて、
「お通阿女が逃がしたのやろ」
「沢庵坊主も、姿が見えぬ」
「ふたりの仕業じゃ」
「どうしてくれよう」
すでに、分家の聟や、権叔父などは、祖先伝来の槍をかかえて、本家の門に、悲壮な眼を集めているのだった。
そして――
「おばば、聞いたか――」
と、奥へいう。
お杉隠居は、さすがに、この大事が事実と分ると、こみあげる怒気を抑えて、仏間に坐っていたが、
「――今参るまで、静かにしていやい」
と、そこからいって、何か黙祷して後悠々と、刀箪笥をあけたり、衣裳や足ごしらえをして皆の前へ出て来た。
短い脇差を帯にさし、草履の緒を足にしばっているので、人々はこのきかない気の老婆がもう何を決意しているか、よく分った。
「――騒ぐことはない、婆が、追手となって不埒な嫁を、成敗して来ますわいの」
のこのこ、歩き出すので、
「おばばまで、行くからには」
と、親類も小作も、いきり立って、この悲壮な老婆を大将とし、途々、棒、竹槍などをひろって、中山峠へ追って行った。
しかし、すでに遅い。
この人たちが、峠の頂へかかったのは、もう午に近かった。