Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(一)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 231.525 caratteri · 463 schermate
三
権叔父は、
「そうとも、そうとも」
と、うなずいた。
この叔父は、今でこそ、狩猟をして生活をたてているが、若いうちは、血の中で育った戦国武者の果てだ。今でも頑丈な骨ぐみをつつんでいる皮膚には、戦場焦けの色が残っている。髪も、婆ほどは白くない。姓は淵川、名を権六という。
いうまでもなく、本家の息子の又八は、甥にあたるので、この叔父が、こんどの事件に対して、関心をもたないでいるはずはない。
「おばば」
「なんじゃい」
「おぬしは、覚悟して、旅支度もして来たろうが、わしはふだんのままじゃ。どこかで足拵えをせにゃならんが――」
「三日月山を下ると、茶屋があるわいの」
「そうそう、三日月茶屋までゆけば、わらじもあろう、笠もあろう」
三
ここを下れば、もう播州の龍野から斑鳩へもほど近い。
だが、夏隣りのみじかくない日も、もう暮れかけていた。三日月茶屋で一息入れていたお杉隠居は、
「龍野までは、ちと無理、今夜は、新宮あたりの馬方宿で、臭い蒲団に寝ることかいの」
と、茶代をおく。
「どれ、参ろう」
と、権六は、ここで求めた新しい笠を持って立ったが、
「おばば。ちょっと、待たれい」