Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(一)

吉川 英治

Leggi 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 231.525 caratteri · 463 schermate

Aozora Bunko

縁をへだてた庭のうえに武蔵は坐っている。新しい黒木綿の小袖を着、両手を膝について、俯し目になっていた。

「新免武蔵というか」

輝政がたずねると、

「はいっ」

はっきり答えた。

「新免家は元、赤松一族の支流、その赤松政則が、昔はこの白鷺城の主であったのだ。そちが、ここへひかれて来たのも、何かの縁だな」

「…………」

武蔵は、祖先の名に泥を塗っている者は自分だと思っている。輝政に対しては、何も感じなかったが、祖先に対して、頭があがらない気がした。

「しかし!」

輝政は語気を改めていった。

「その方の所業、不埒であるぞっ」

「はい」

「厳科を申しつける」

「…………」

輝政は、横を向いて、

「沢庵坊。身の家臣、青木丹左衛門が、わしの指図も仰がず、お汝に対して、この武蔵を捕えたら、その処分は、おてまえに任せるといったという話は――あれは真かの」

「丹左を、お調べ下されば、真偽は明白でおざるが」

「いや、調べてはある」

「しからば、何をか、沢庵に嘘偽りがおざろう」

「よろしい、それで、両者のいうことは一致しておる。丹左は、身の家来、その家来が誓ったことは、わしの誓いも同様である。領主ではあるが、輝政には、武蔵を処分する権能はすでにないのだ。