Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(一)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 231.525 caratteri · 463 schermate
「この、ばかおやじ、何処へ行くっ」
飛び出して来て、おやじの髷をつかみ、ぽかぽかと撲る、喰いつく。
火のつくように子は泣いている。犬はきゃんきゃんいう、近所からの仲裁が駈けて出る。
――武蔵は振り向いた。
笠の裡で、苦笑して見ていた。彼は、先刻からその軒つづきの陶器師の細工場の前に立ち、子供のように何事も忘れて、轆轤や箆の仕事に見恍れていたのであった。
「…………」
ふり向いた眼はまたすぐ細工場のうちへ戻っている。武蔵は、見とれていた。しかし、そこで仕事をしている二人の陶器師は、顔も上げなかった。粘土の中にたましいが入っているように、三昧になりきっていた。
路傍にたたずんで見ているうちに、武蔵は、自分もその粘土を捏ねてみたくなった。彼には、何かそういうことの好きな性質が幼少い時からあった。――茶碗くらい出来るような気がする。
だが、その一人のほうの六十ぢかい翁が、箆と指のあたまで、今、一個の茶碗になりかけている粘土をいじっているのを見ると、武蔵は、自分の不遜な気持がたしなめられた。
(これは、たいへんな技だ、あれまで行くには)
このごろの武蔵の心には、ままこういう感動を抱くことがあった。