Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(一)

吉川 英治

Leggi 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 231.525 caratteri · 463 schermate

Aozora Bunko

六

父も、厳格で冷たい人のままでやがて世を去った、武蔵の残虐性は、養われるばかりだった。

もし、お吟という一人の姉がいなかったら、彼は、どんな大それた争いを起して、村を追われていたか知れない。だが、その姉が泣いていう言葉には、いつもすなおに従った。

今度、又八を誘って、軍へ働きに出て来たのも、そうした彼に、かすかにでも、転機の光がさして来たためともいえる。人間になろうとする意思がどこかで芽をふきかけていた。――けれど今の彼は、ふたたびその方向を失っていた。真っ暗な現実に。

しかし、戦国というあらい神経の世でもなければ、生み出し得ないような暢気さもある若者だった。微塵も、明日のことなどは、苦にしていない寝顔でもある。

故郷の夢でも見ているのだろう、ふかぶかと寝息をかいて。そして例の木剣を、抱いて。

「……武蔵さん」

ほの暗い短檠の明りを忍んで、いつのまにか、お甲は、その枕元へ来て、坐っていた。

「ま……この寝顔」

武蔵の唇を、彼女の指は、そっと突いた。

六

ふっ! ……

お甲の息が、短檠の明りを消した。横にのばした体を猫のように縮めて、武蔵のそばへ、そっと寄り添って。