Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(一)

吉川 英治

Leggi 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 231.525 caratteri · 463 schermate

Aozora Bunko

甘んじられない容子なのである。むしろ無念らしく、未熟者未熟者と、自分を罵りながら歩いているかのように、うつつに歩いていた。

「あ」

何か思い出したのであろう、立ちどまって振り向いた。宝蔵院の灯は、まだ後ろに見えていた。

駈け戻って、今出て来た玄関に立ち、

「ただ今の、宮本でござるが」

「ほう」

と、玄関坊が顔を出し、

「なんぞお忘れ物か」

「明日か明後日あたり、私をたずねて、当院へ聞きに参る者があるはずですが、もしその者が見えたときは、宮本は当所の猿沢の池のあたりにわらじを解いているゆえ、あの辺の旅籠の軒を見て歩け、とお伝えを願いたいのです」

「ああ、左様か」

うわの空な返辞なので、武蔵は心もとなく思い、

「ここへ後から尋ねて来る者は、城太郎と申して、まだ年端のゆかぬ少年ですから、どうぞ慥とお伝え願いまする」

いいおいて、元の道をまた大股に引き返しながら、武蔵はつぶやいた。

「やはり、敗けているのだ。――城太郎の言伝てをいい忘れて出て来ただけでも、おれはあの老僧の日観に敗けを負わされて戻っている!」

どうしたら天下無敵の剣になれるか。武蔵は、寝ても醒めても、病のように取り憑かれているのである。