Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(一)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 231.525 caratteri · 463 schermate
この剣、この一剣。
勝って帰る宝蔵院から、どうして、この苦い自分の未熟さが、こびりついて来るのだろう。
何としても、楽しめない気持らしい。
怏々と、惑いながら、彼の脚はもう猿沢の池畔へ出ていた。
この池を中心に、狭井川の下流へかけて、天正ごろから殖えた新しい民家が乱雑に建てこんでいた。つい近年、徳川家の手代大久保長安が、奈良奉行所を設けた一廓も近くであるし、中華の帰化人で林和靖の後裔だという者が店をひらいた宗因饅頭もよく売れるとみえ、池へ向って店をひろげている。
そこらのまばらな宵の燈を見ると、武蔵は足をとめて、どこに泊ったものか、旅籠に迷った。旅籠はいくらもあるらしいが、路銀の都合もあるし、そうかといって、あまり場末や路地の木賃では、後から捜して来る城太郎にわかりにくかろう。
今し方、宝蔵院で接待にあずかって来たばかりであるが、宗因饅頭の前を通ると、武蔵は食慾をおぼえた。
腰かけへ立ち寄って、饅頭を一盆とってみる。饅頭の皮には「林」の字が焼いてあった。ここで食べる饅頭の味は、宝蔵院で食べた瓜漬の味のように舌にわからないことはなかった。
「旦那さま、今夜はどちらへお泊りでございますか」