Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(一)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 231.525 caratteri · 463 schermate
おれも幼少から骨肉に恵まれなかったが、おまえもおれに劣らない親の縁にうすい奴だ。逃げてやりたいが――」
「さ、さ、今のうちに」
「おれは侍、おまえも侍の子じゃないか」
力が尽きて、城太郎はそこへ坐ってしまった。手でこする顔から黒い水がぼたぼた落ちた。
「だが、心配するな。おれは負けないつもりだ。いやきっと勝つ。勝てばよかろう」
そう慰めても、城太郎は信じない。先に待ち伏せている宝蔵院衆は十人以上だと聞かされているからだった。弱い自分の師匠には、その一人と一人との勝負でも、勝てるわけはないと思っているのである。
きょうの死地へ当ってゆくには、そこで生きるも死ぬも十分な心構えが要る。いやすでにその心構えの中に立っているのだ。武蔵は、城太郎を愛しもするし不愍にも思ってはいるが、面倒になった、焦れったくなった。
ふいに激越な声で叱ったのである。彼を突き離すとともに、自分へ弾力を持って、
「だめだッ、貴様のような奴、武士にはなれん、居酒屋へ帰れ」
強い侮辱をあびせられたように少年のたましいはその声に泣きじゃくりを止めた。はっとした顔いろをもって、城太郎は起ち、そして、もう大股に彼方へ歩いてゆく武蔵のうしろ姿へ、