Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(一)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 231.525 caratteri · 463 schermate
女の道
一
そんなわけでぶらりとこの地方を歩いて来た沢庵であるから、その柳生谷に近い山で、お通のすがたを見かけたことは、さまで意外としなかったが、お通の話によって、
「惜しかった」
と、彼も舌を鳴らして嘆息したのは、たった今、武蔵が伊賀路のほうへ向って駈け去ったということであった。
女の道
一
そこの胡桃の木の丘から、石舟斎のいる山荘の麓まで、城太郎を連れて、悄々と引っ返してゆく間に、沢庵からいろいろ問いただされて、お通がつつみ隠しなく、その後の自分の歩いて来た途やらこの度のことを、彼なれば何でもと心をゆるして、語りもし相談もしたであろうことは、想像に難くあるまい。
「む。……む……」
沢庵は、妹の泣き言でも聞いてやるように、うるさい顔もせず幾たびも頷いて、
「そうか、なるほど、女というものは、男にはできない生涯を選ぶものだ。――そこで、お通さんの今考えていることは、これからどっちを歩こうという岐れ道の相談じゃろ」
「いいえ……」
「じゃあ……?」
「今さら、そんなことに、迷ってはおりません」
俯向きがちな彼女の力のない横顔を見れば、草の色も真っ暗に見えているであろうほど、滅失の中の人だったが、そういった言葉の語尾には、沢庵も眼をひらいて見直すくらい、強い力がこもっていた。