Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(一)

吉川 英治

Leggi 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 231.525 caratteri · 463 schermate

Aozora Bunko

正月には――二月には――と便りの空だのみも、この頃は頼みに持てなくなった。もう今年の春も四月に入っているのだった。

「――武蔵さんの家へも、何の音沙汰がないというし……やっぱり二人とも、死んだのかしら」

たまたま、他人に向って、嘆息をもらして訴えると、あたりまえじゃと、誰もがいう。ここの領主の新免伊賀守の一族からして、一人として、帰って来た者はいないのだ、戦の後、あの小城へ入っているのは、みな顔も見知らない徳川系の武士衆ではないかという。

「なぜ男は、戦になど行くのだろう。あんなに止めたのに――」

縁がわに坐りこむと、お通は、半日でもそうして居られた、さびしいその顔が、独りで物思うことを好むように。

きょうも、そうしていると、

「お通さん、お通さん」

誰かよんでいる。

庫裡の外だった。真っ裸な男が、井戸のほうから歩いてくる、まるで煤しにかけた羅漢である。三年か四年目には、寺へ泊る但馬の国の雲水で、三十歳ぐらいな若い禅坊主なのだ、胸毛のはえた肌を陽なたにさらして、

「――春だな」

独りでうれしそうにいう。

「春はよいが、半風子のやつめ、藤原道長のように、この世をばわがもの顔に振舞うから、一思いに今、洗濯したのさ。