Classici giapponesi con furigana
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こどうひゃくわ
胡堂百話
野村 胡堂
Leggi 胡堂百話 (こどうひゃくわ) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 124.386 caratteri · 248 schermate
本山荻舟
荻舟君については、もう一つだけいうことがある。
本山荻舟
本山荻舟というのは、世にも不思議な人物である。死の一週間前に脱稿した畢世の大作『食物辞典』は、荻舟の名を不朽にするであろうが、私にとっての本山君はもっと重宝な存在であった。
私は宴会などで、本山君の姿を見ると必ず、その傍へ寄っていった。別に挨拶を交すためではない。彼と並んで、席を占めるためである。
何が故に、彼の隣へすわるのか。それは、追々に料理が運ばれて来ると判明する。たとえば、最初にアユが出たとする。彼は、アゴを、ぐいッと引いて、一眺めして、
「うん。このアユは狩野川だな。いや、待て待て。狩野川にしては、歯がこまかいぞ。一体、ドブ釣りのアユと、友釣りのアユは……」
独特の、手の振り方を交えながら、三十分でも一時間でも、ウンチクを傾ける。それはよいとして、肝心のアユそのものには、ついに一箸もつけないのだ。
続いてビフテキが出たとする。
「キミ。肉の焼き方というものはだねえ」
また、小一時間の講義であるが、これも、結局、一口もたべない。盃の方は、いくらでも動くが、右手の箸は飾りものである。仕方がないから、友人としての職責上、私が処分しなければならない。