Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
こどうひゃくわ
胡堂百話
野村 胡堂
Leggi 胡堂百話 (こどうひゃくわ) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 124.386 caratteri · 248 schermate
「銭形平次」誕生(一)
と、おだて上げた。これは、大へんありがたいことで、せいぜい稼がせてもらおうと思っているところへ、昭和六年の早春である。文芸春秋社の菅忠雄君が訪ねてきた。
「銭形平次」誕生(一)
大抵の歴史は、さりげないところから始まる。
たかが、一つの捕物小説を、何も僭越至極な表現をする気はないが、この日、菅忠雄君が来なかったら、銭形平次は、こういう形で誕生していなかったかも知れない。
新聞社の二階の応接室……今は、その社屋のあとに、そごう百貨店が建っている……で、菅君は、私と向い合った。
よく知っている仲だから、別に改まった挨拶もない。給仕の汲んで来た出がらしの茶を一口のんでから、
「実は、オール読物という月刊雑誌をはじめることになった」
「で?」
「岡本綺堂先生の半七捕物帳ですね。ああいうものを毎月書いて、もらえないでしょうか」
「ふーむ。捕物帳をねえ」
私は、むろん、半七捕物帳を愛読している。探偵小説としては、どぎついところのあるものでなく、いわば、うすあじの作品と言えるが、江戸の情緒を描き出したあの背景は素晴らしいし、一服の、ほのあたたかい人情味とともに、芸術品としては、高いクラスのものだと信じている。