Classici giapponesi con furigana
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こどうひゃくわ
胡堂百話
野村 胡堂
Leggi 胡堂百話 (こどうひゃくわ) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 124.386 caratteri · 248 schermate
バス代
「広重だ。広重の絵がここに生きているのだ」
バス代
東海道のドライブが、私と広重との、馴れ染めになったことを、私は今でも後悔しない。本当に、心の底から、感嘆したのである。広重の描いた三島の朝景色は、霧の流れが美しいし、私の訪れたのは午後であった。時代にしても、約百年のへだたりがある。それにもかかわらず広重の描いた風物がそのまま私の眼の前にあった。
静岡に一泊して、翌朝早く、安倍川を渡った。橋のたもとに「元祖あべ川餅」の、のれんを見て、川の向うをながめると、二つ並んだ山の姿――
「あ、見たことのある山だ」
と、思わず口走ったが、これも保永堂版五十三次の「安倍川」で馴染みの図柄である。
三島と安倍川ばかりでない。宇津の谷峠も、桑名の城も、鈴鹿峠も天竜川も、ことごとく広重の絵であった。むろん、木橋はコンクリートになり、山は乱伐ではげており、無粋な電柱が立っている。しかも、そこにあるものは絶対に広重なのである。写真帳や絵ハガキも用意していたが、写真と実景とは、何の交流もない、私は、広重ばかり見て、車を走らせた。
今と違って、トラックなども、ほとんど通らず、宇津の谷峠などは、今にも追剥ぎが出そうな気がした。