Classici giapponesi con furigana
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さんごくし
三国志(三)
吉川 英治
Leggi 三国志(三) (さんごくし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 312.452 caratteri · 628 schermate
彼女の母は泣きながら云い聞かせたが――これが花嫁の踏まなければならない途中の道なのか? ――彼女の白い顔は氷化し、黒い睫毛は上の瞼と下の瞼とを縫い合わせたように凍りついていた。
かくて行くこと百余里。
翌晩も寒林の中に月は怖ろしいほど冴えていた。
突として、鼓声鉦雷のひびきが、白夜を震撼した。
数千羽の烏のように、寒林を横ぎってくる慓悍なる騎兵があった。
「あっ、関羽の隊だ!」
張遼は、絶叫して、
「ご用心あれ」と、呂布を振向いた。
間もあらず、
「それッ」と、馬前はすでに、飛雪に煙る。
びゅッん!
矢風は、身をかすめ、鉄鎧にあたって砕けた。ここかしこに、喚き、呻きがあがる。そして噴血は黒くぶちまかれた。
「――怖いッ!」
呂布は、耳元に、帛を裂くような悲鳴を聞いた。
背の処女は、父の体に爪を立てんばかりしがみついた。ひいッ! と身も世もない声を二度ほどあげた。
猛然、赤兎馬は悍気立つ。
――だが、呂布もこよいばかりは、その奔馬を引止めるのに汗をかいた。もし敵の一矢でも、一太刀でも、背の娘にうけたらと、それのみに心をひかれるからであった。
「関にかかった敵は凡者ともおぼえぬぞ」