Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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さんごくし

三国志(三)

吉川 英治

Leggi 三国志(三) (さんごくし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 312.452 caratteri · 628 schermate

Aozora Bunko

火を踏み、水を越ゆるともその時には、あなたの側にとどまっておりますまい」

「ははは、羽将軍は、なお曹操の心事をお疑いとみえるな。ご念には及ばん……」

曹操はいったが、笑いにまぎらした中に、おおい得ない感情が圧しつぶされていた。その苦味を打ち消すように、

「さあ、あちらの閣に、盛宴のしたくができておる。わが幕僚たちともお紹介わせしよう。来給え」と、先に立って、酒宴のほうへみちびいた。

万歳の杯をあげて、諸将もみな酔ったが、平常でも朱面の関羽が、たれの顔よりも朱かった。

酔に乗じて、曹操は、

「羽将軍、君が会わんと願っているひとは、おそらく乱軍のなかでもう屍になっているかも知れんな。むしろ霊を祭って、ひそかに弔ってあげたほうがよいだろう」と、ささやいた。

関羽は、酔うとよけい、酒の脂で真っ黒な艶をみせる長髯を撫しながら、

「それと分った時でも、それがしはきっと、丞相の側に居なくなるでしょう」

と、髯の中で笑った。

「どうしてか。玄徳が討死にしてしまったら、もう君の行く先はあるまい」

「いや、丞相」と、幅のひろい胸を向け直して、「――この髯が、鴉になって故主の屍を探しに飛んで行きましょう」