Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
みやもとむさし
宮本武蔵(一)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 231.525 caratteri · 463 schermate
樋をあふれる水が、滝のように地を穿っていた。
「沢庵さん、沢庵さん」
そこの戸は、沢庵にあてがわれている一室だった。お通が、外から烈しく叩くと、
「誰だい?」
「わたしです、お通です」
「あっ、まだ外にいたのか」
すぐ戸を開けて、水煙の廂の下をながめ、
「ひどい! ひどい! 雨がふき込む、早くお入り」
「いいえ、お願いがあって来たのです。後生ですから、沢庵さん、あの人を、樹から下ろしてあげて下さい」
「誰を」
「武蔵さんを」
「とんでもないこと」
「恩に着ます」
お通は、雨の中に膝まずいて沢庵のすがたへ、掌をあわせた。
「この通りです……私をどうしてもかまいませんから……あの人を、あの人を」
雨の音は、お通の泣き声を打ちたたいたが、お通は、滝つぼの中にある行者のように、合わせた掌をかたくして、
「おがみます、沢庵さん、おすがりいたします、私にできる事ならどんな事でもしますから……あ、あのお方を、た、たすけて」
泣いてさけぶ彼女の口の中まで雨はふき荒んでいる。
沢庵は、石みたいに黙っていた。本尊仏を秘めた厨子の扉のように瞼をふかくふさいでいるのである。大きな息をついて、やがてその瞼をくわっと開けると、