Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
みやもとむさし
宮本武蔵(一)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 231.525 caratteri · 463 schermate
十歩――いや二十歩ほど、彼が背を見せて、本堂のほうへもう歩み出していた時である。
「あ。しばらく!」
武蔵が空からいった。
「――なんじゃ?」
遠くから沢庵が振向いて答える。
「もいちど、樹の下へもどってくれ」
「ふム。……こうか」
すると樹上の影は突然、
「沢庵坊――助けてくれッ」
と、大声で喚いた。
にわかに泣いてでもいるように、天の梢はふるえていう。
「――俺は、今から生れ直したい。……人間と生れたのは大きな使命をもって出て来たのだということがわかった。……そ、その生甲斐がわかったと思ったら、途端に、俺は、この樹の上にしばられている生命じゃないか。……アア! 取り返しのつかないことをした」
「よく気がついた。それでおぬしの生命は、初めて人間なみになったといえる」
「――ああ死にたくない。もう一ぺん生きてみたい。生きて、出直してみたいんだ。……沢庵坊、後生だ、助けてくれ」
「いかん!」
断乎として、沢庵は首を振った。
「何事も、やり直しの出来ないのが人生だ。世の中のこと、すべて、真剣勝負だ。相手に斬られてから、首をつぎ直して起ち上がろうというのと同じだ。不愍だが沢庵はその縄を解いてやれん。