Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(一)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 231.525 caratteri · 463 schermate
牢屋らしい汚い小屋の蔭から、一人の小者が、鼬のように逃げだすのを見つけた。血しおで、ぬるぬるになった角柱を、その足もとへ抛りなげて、
「待てッ」
と、武蔵が跳びついた。
意気地なく泣きだす顔を、ぴしゃッと撲りつけて、
「姉上は、どこにいるか。その牢屋を教えろ。いわねば、蹴殺すぞ」
「こ、ここには、おりませぬ。――一昨日、藩のいいつけで、姫路のほうへ、移されました」
「なに、姫路へ」
「へ……へい……」
「ほんとか」
「ほんとで」
武蔵は、また寄って来る敵へ、その番人の体を投げつけて、小屋の蔭へ、ぱっと身を退いた。
矢が、五、六本そこらへ落ちた。自分の裾にも一本とまっている。
瞬間――
武蔵は、栂指の爪を噛んで、じいっと、矢の飛ぶのを見ていたが、突然、柵のほうへ走って、飛鳥のように外へ躍り越えた。
ドカアン!
と、その姿へ向って放たれた種子島の音が、谷底から谺を揺すり上げた。
逃げだしたのだ! 武蔵は途端に、山の頂から転落してゆく岩のように、逃げ出している!
――怖いものの怖さを知れ。
――暴勇は児戯、無知、獣の強さ。
――もののふの強さであれ。
――生命は珠よ。