Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(一)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 231.525 caratteri · 463 schermate
「ちッ……」
自分の置き場を失ったように、清十郎は、さびしい、苦い、何ともいえない面もちを持って、
「帰る!」
独りでつぶやいて、廊下へ出た、歩きだすと、その顔は、ぷんぷん怒っていた。
「おや、清さま」
見つけて、あわてて抱きとめたのはお甲であった。髪も束ね、化粧は先刻よりは直っていた。抱きとめておいて、藤次を加勢に呼びたてた。
「まあ、まあ」
やっと元の座敷に坐らせたのである。すぐ酒を運ぶ、お甲が機嫌をとる、藤次が、朱実を引っぱッて来る。
朱実は、清十郎の沈んでいるのを見ると、くすりと、笑靨を下に向けた。
「清さまへお酌をなさい」
「はい」
と、銚子をつきつける。
「これですもの、清さま、どうしてこの娘は、いつまで、こう子どもなんでしょう」
「そこがいいのさ、初桜は」
藤次も、わきから座を持った。
「だって、もう二十一にもなっているのに」
「二十一か、二十一とは見えんな、ばかに小粒だ――やっと十六か、七」
朱実は、小魚みたいに、ぴちぴちした表情を見せて、
「ほんと? 藤次さん。――うれしい! 私、いつまでも、十六でいたい、十六の時に、いいことがあったから」
「どんなこと」