Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(一)

吉川 英治

Leggi 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 231.525 caratteri · 463 schermate

Aozora Bunko

「ちいッ」

――その前を、奥の部屋から出て来た医者が、黙々と門人たちに見送られて玄関へ出て行った。医者が帰ると、その人たちはまた無言で一室へ退いた。

「燈火をつけるのも忘れていやがる。――誰か、あかりを灯けんのかっ」

と、腹だたしげに呶鳴る者がある。自分たちの汚辱に対して、自分たちの無力を怒る声だった。

道場の正面にある「八幡大菩薩」の神だなに、ぽっと、神あかしが灯った。しかし、その燈明さえ、晃々とした光がなかった。弔火のように眼に映って、不吉な暈がかかっている気がするのである。

――そもそもが、ここ数十年来、吉岡一門というものは、余りに順調でありすぎたのではあるまいか。古い門人のうちでは、そうした反省もしていた。

先代――この四条道場の開祖――吉岡拳法という人物は、今の清十郎やその弟の伝七郎とはちがって、たしかに、これは偉かったに違いない。――根は一介の染物屋の職人に過ぎなかったが、染型をつける紺屋糊のあつかいから太刀使いを発明して、鞍馬僧の長刀の上手に仕いたり、八流の剣法を研究したりして、ついに、一流をたて、吉岡流の小太刀というものは、時の室町将軍の足利家で採用するところとなり、兵法所出仕の一員に加えられるまでになった。