Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(一)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 231.525 caratteri · 463 schermate
「茶屋の亭主?」
「いや亭主ではないと、あそこの内儀がいった、懸人だろう」
「うさんな奴だ。何だって、御門前にたたずんで、覗き込んでなどおったのか」
藤次は、急に足を移して、
「そんな者にかまっていては、相手の武蔵を逸してしまう。早く手分けをして、せめて、彼の泊っている宿先でも」
「そうだ、宿を突きとめろ」
又八は本能寺の大溝へ向いて、黙然と首を垂れていたが、わらわら駈け去ってゆく跫音へ、何思ったか、
「あ、もしっ、しばらく」
と、呼びとめた。
最後の一人が、
「なんだ」
足を止めると、又八のほうからも足を運んで、
「きょう道場へ来た武蔵とかいう者は、幾歳くらいの男でした」
「年などはしらん」
「てまえと、同年くらいじゃございませんか」
「ま、そんなものだ」
「作州の宮本村と申しましたか、生国は」
「左様」
「武蔵とは、武蔵と書くのでございましょうな」
「そんなことを訊いてどうするのだ。そちの知人か」
「いえ、べつに」
「用もない所をうろついていると、また、今のような災難にあうぞ」
いい捨てると、その一人も闇へ駈け去った。又八は、暗い溝に沿って、とぼとぼ歩きだした。時々、星を仰いでは立ちどまっている。