Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(一)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 231.525 caratteri · 463 schermate
ことに、奈良とか、高野山とかいう地帯は、武力の入り難い寺院が多いために、そういう牢人たちにとっては、屈強のかくれ場所となり得るので、ちょっと指を折っても、九度山には真田左衛門尉幸村、高野山には南部牢人の北十左衛門、法隆寺の近在には仙石宗也、興福寺長屋には塙団右衛門、そのほか御宿万兵衛とか、小西牢人の某とか、ともかく、このまま日蔭では白骨になりきれない物騒な豪の者が、ふたたび天下が大乱となることを旱に雨をのぞむように待っているという状態である。
まだまだそこらの名のある牢人は、それぞれ、隠栖しても一かどの権式も生活力も持っているが、これが奈良の裏町あたりへゆくと、ほとんど、腰の刀の中身まで売りはたいたような、ほんとの無職武士がうようよいて、半分は自暴になって風紀をみだし、喧嘩を漁り、ただ徳川治下の世間をさわがせて一日もはやく大坂の方に、火の手があがればよいと祈っている連中ばかりが、巣を作しているような有様であるから、そんな所へ、あなたのような美しい女子が一人で行くことは、まるで袂へ油を入れて火の中へ入るようなものだと、茶売りの老人は、お通を止めてやまないのであった。