Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(一)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 231.525 caratteri · 463 schermate
「何をいうかっ」
と、すでにそこにいない者を罵って、また槍を持ち直した。
武蔵は、念のために、
「よろしいか」
といった。
阿巌の憤怒を煽るには十分であった。彼は、左の拳の中に槍をふかく吸い入れて、床から身を浮かした。筋肉のすべてが鉄のような重厚さを持っているのに、床と彼の脚とは、着いているとも見えるし、浮いているとも見えて、波間の月のように定まりがない。
武蔵は、固着していた、一見そう見える。
木剣は真っ直に両手で持っているというほか、べつだん特異な構えではなかった。むしろ六尺に近い背のために、間の抜けたようにさえ思われるのである。そして筋肉は、阿巌のように節くれ立っていなかった。ただ、鳥のように瞠ったままの眼をしている。その眸はあまり黒くなかった。眸の中に血がにじみ込んでいるように、琥珀色をして透き徹っている。
阿巌はぴくと顔を振った。
汗のすじが額を縦に通ったので、それを払うつもりであったのか、老僧の言葉が耳に残っていて邪魔になるので、それを意識から払おうとしたのか、とにかく焦立っていることは事実である。頻りと、位置を換える。まったく動かないでいる相手に対して、絶えず誘いをかけ、また自分から窺うことを怠らない。