Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(一)

吉川 英治

Leggi 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 231.525 caratteri · 463 schermate

Aozora Bunko

察するところ、あの折、いやに凄みをふくんだ表情で帰って行ったのは、後にこのことをもって、思い知らしてやるという肚黒い考えであったかも知れない。

自分には覚えのない宝蔵院の悪口をいいふらしたとか、落首を書いて辻々にはったとかいう所為も、彼らの仕業と思えないことはない。

「行こう」

武蔵は立って、旅づつみの端を胸の前で結び、笠を持って、宗因饅頭の女房と、観世の若い後家へ向い、くれぐれ好意を謝して、門を踏みだした。

「どうしても」

観世の後家は、涙ぐんでいるかのような眼で、外まで従いて来た。

「夜を待っていれば、必ずお宅に禍いがかかります。ご親切をうけたり、迷惑をかけたりしては申しわけがない」

「かまいません、私のほうは」

「いや、立ちましょう。――城太郎、お礼をいわんか」

「おばさん」

と、呼んで、城太郎は頭を下げた。にわかに彼も元気がない。それは別れを惜しむためとは見えないのである。思うに城太郎はまだ武蔵の本当を知らないし、京都にいたころから弱い武者修行と聞かされているので、自分の師匠の行く先に、音に聞えた宝蔵院衆が、槍をつらねて待っていると聞き、子供心にも、一抹の不安を覚えて、悲壮になっているのであろう。