Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(一)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 231.525 caratteri · 463 schermate
武蔵は、故意に、暴論を吐いてみたり、無礼な態度を見せたりしたが、庄田喜左衛門も出淵も笑って聞き流すだけである。くわっと乗って来るような不覚はこの四高弟のうちにはない。
武蔵は、やや焦心った。これで帰ることが無念だった。自分の底の底までを見透かされてしまった気がする。
「さ、寛ごう」
食後の茶になると、四高弟は、円座を思い思いの居心地へ移して、膝を抱えるのもある。あぐらを組む者もある。
武蔵だけは、依然として、隅柱を負っていた。つい無口になる。怏々として楽しまないものが胸を占めて霽れないのだ。勝つとは限らない、撃ち殺されるかも知れない。――それにしても石舟斎と試合わずしてこの城を去るのは生涯の遺憾だと思う。
「やっ?」
ふいにその時、村田与三が縁へ起って、暗い外へつぶやいた。
「太郎が吠えている。ただの吠え方ではない。何事かあるのではあるまいか」
太郎とはあの黒犬の名か、なるほど、二の丸のほうで怖ろしく啼き立てている。その声が、四方の山の谺を呼んで、犬とも思えない凄さであった。
太郎
一
犬の声は、容易にやまない。凡事とも思えない吠え方なのである。
「何事だろう? 失礼だが、武蔵どの、ちょっと中座して見て参ります。