Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(一)

吉川 英治

Leggi 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 231.525 caratteri · 463 schermate

Aozora Bunko

広いままに古びて、今では屋根には草あやめが生え、そのむかし十手術の道場としていた所の高窓と廂のあいだには、燕の糞が白くたかっていた。

永い牢人生活の後の貧しい中に父は死んで行ったので、召使もその後はいないが、元の雇人はみなこの宮本村の者ばかりなので、そのころの婆やとか仲間とかが、かわるがわるに来ては台所へ黙って野菜を置いて行ったり、開けない部屋を掃除して行ったり、水瓶に水をみたして行ったりして、衰えた無二斎の家を守っていてくれている。

今も――

誰か裏の戸をあけて入ってくる者があるとは思ったが、おおかたそれらの中の誰かであろうと、奥の一室に縫い物をしていたお吟は、針の手もとめずにいると、

「お吟さま。今日は――」

うしろへお通が来て、音もなく坐っていた。

「誰かと思ったら……お通さんでしたか。今、あなたの帯を縫っているところですが、あしたの灌仏会に締めるのでしょう」

「ええ、いそがしいところを、すみませんでした。自分で縫えばいいんですけれど、お寺のほうも、用が多くって」

「いいえ、どうせ、私こそ、ひまで困っているくらいですもの。……何かしていないと、つい、考えだしていけません」