Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(一)

吉川 英治

Leggi 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 231.525 caratteri · 463 schermate

Aozora Bunko

「でも、その武蔵がおりませぬことには」

「白々しい。おぬしが、知らぬはずはない」

「ご難題でございます」

お吟は、泣き伏してしまった。父の無二斎がいるならばと、すぐ胸の裡では思うのだった。

と、その時、縁側の戸が、がたっと鳴った。風ではない、はっきり、戸の外には人の跫音らしい気配がしたのである。

「おやっ?」

お杉が、眼を光らすと、お通はもう起ちかけていた。――途端に次の物音は、絶叫だった、人間の発しる声のうちでは最も獣に近い呻きであった。

つづいて、何者かが、

「――あッ、捕まえろっ」

迅い烈しい足音が、邸のまわりを駈け出した。樹の折れるような音――藪の揺れて鳴る音――足音は一人や二人のものではない。

「武蔵じゃ」

お杉は、そういって、ぬっと立った。泣き伏しているお吟の襟元を睨みつけて、

「いるのじゃ! 見え透いたことをこの女は、婆に隠しくさる。なんぞ理があろう、覚えていやい」

歩いて、縁側の戸を開けた。そして外をのぞくと、お杉は、土気いろに顔を変えた。

脛へ具足を当てた一人の若者が仰向けになって死んでいたのである。口や鼻から鮮血をふき出している無残な態から見ると、何か木剣のような物で、一撃のもとに、打ち殺されたものらしかった。