Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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こどうひゃくわ

胡堂百話

野村 胡堂

Leggi 胡堂百話 (こどうひゃくわ) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 124.386 caratteri · 248 schermate

Aozora Bunko

それが今では、ワン・ボールしか残っていない。上から順に、淳子、一彦、瓊子、稔子である。まことにむずかしい名前ばかりつけたもので、今ならば、区役所で、出生届けを突き返されてばかりいなければならない。

淳子は、明治の末に生まれた。私自身が父親に死なれて、大学を中退したり、新聞記者になったり、まごまごしていた頃の子供だが、どこか器用なところがあって、手工では、いつも学校でほめられた。印象派の巨匠ゴヤの絵を、貼り絵で模写した時などは、

「先生がびっくりしたと言ったわ。学校中の評判なのですって……」

めったに自慢しない子なのだが、この時はニコニコして帰ってきた。それをまた、その三倍もニコニコして、

「そうか。そうか。それはよかった」

と、ほくほくするのが、つまり三馬鹿の筆頭なのである、この子は女学校在学中に、十七歳で世を早くした。

一彦は、不思議に音楽の才能があった。早く死ぬような子は、みんな、秀でたところを持っている。というと、今生き残っているワン・ボールに、

「どうせそうでしょうよ。雑草だけが残るんでしょうよ」

と、ムクレられても困るけれど、とにかく、あの面倒なベートーヴェンの第九シンフォニーの楽譜を、九つくらいで、すらすらと読んだ。