Classici giapponesi con furigana
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こどうひゃくわ
胡堂百話
野村 胡堂
Leggi 胡堂百話 (こどうひゃくわ) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 124.386 caratteri · 248 schermate
甚だしいのは、その自動車を待たせておく。こういう神経は私には理解出来ない。
上司小剣氏は、玄関まで自動車できたことがない。昭和初年の円タク洪水の時代でも、必ず半町手前で下りる。むろん、借金の話などではない。気のおけない友人の家を訪ねるのにも、半町手前で下りて歩いた。帰りもまた、自宅の前まで乗らないで、一町ほども手前で下りて、そっと歩いて我家へはいった。
大正以前なら人力車だが、それを相手の門前まで乗りつけないという人は、私の知人にも幾人かあった。だが、上司氏のは、帰りにも自宅の直前までは乗らない。隣り近所への、エチケットだというのである。
この驚くべきつつましさは、上司氏の両親から受けついだものらしい。氏のお母さんという人は、玄関の障子を新しく張った時、わざと二、三カ所、穴をあけ、そのところを切り張りにした。これ見よがしの真新しい障子は、来訪者への儀礼でないというのである。明治の末までは、こういう婦人が日本には、沢山いたのだ。
さて、蓄音機の話に戻るが、私は数だけは相当に持っている。戦後、間もないころ、新聞の随筆に「我家の自慢」として蓄音機が二十もあると書いたら、さっそく税務署ににらまれて、三十万円也と評価された。