Classici giapponesi con furigana
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こどうひゃくわ
胡堂百話
野村 胡堂
Leggi 胡堂百話 (こどうひゃくわ) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 124.386 caratteri · 248 schermate
「江戸砂子」「江戸名所図会」からはじまって、手当り次第に乱読していたところへ、渡辺芳助の出現は、渡りに舟だった。
「古本屋の入札じゃあるまいし、すわりこんでいちゃあ、江戸は分りませんや」
芳助はひとりで呑みこんで、いやおうなしに私を引っ張り回しはじめたのである。
手はじめは、回向院のネズミ小僧の墓だったと思う。イキな姐さんや、勇ましいあんちゃんたちの参詣で、四十七士の墓よりも、もっと、香煙もうもうとして、そして、見事に、ぶち欠かれていた。墓石のカケラをふところに忍ばせていれば、勝負事に絶対勝つという迷信から、柵も金網も乗り越えて、ドンドン欠いて行ってしまう。ロウソクのようにやせ細った墓石の前で、
「どうだ。大したものだろう」
と、芳助は、自分のことのように威張った。
亀戸の天神桜の太鼓橋は、今より、ずっと急だったし、萩寺には、萩が若芽をそよがせていた。向島で言問団子をたべて、白鬚神社から、梅若塚までテクテク歩いた。一体、芳助は、どうしてあんなに物知りだったのだろう。
三囲から、竹屋の渡しを渡って、待乳山、馬道、富士神社と来ると、鉛色の空に、十二階のシルエットが浮いている。