Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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こどうひゃくわ

胡堂百話

野村 胡堂

Leggi 胡堂百話 (こどうひゃくわ) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 124.386 caratteri · 248 schermate

Aozora Bunko

やがて小石川の下宿に移り、間もなく赤十字病院に入院した。原敬は、その時、内務大臣だった。政友会の実力者、次ぎの政局のホープとして、身体が百あっても足りそうもないのに一週に一度は、必ず病院にやってきた。議場に立てば、白頭鬼と恐れられた剛腹漢と、これが果して同一の人間かと思うほど、やさしく、こまやかに気を使い、入院費用を、だまって、そっと払って行った。

抱琴が死んで初七日に、私たち若い仲間が築地本願寺で追悼会を開いた。

「今日は、まさか来ないだろう」

「議会の開会中だからなあ。相撲の本場所、将棋指しの御前勝負、親の死目にも抜け出せないというやつさ」

私たちは、原敬は来ないものときめこんで順繰りに焼香をすませた時だった。表に車のとまる音がして、あの美しい白頭が、静かにはいって来た。そして、丁寧にお辞儀をして、

「達が、生前は、まことにお世話になりました。今日は、また、このように……」

粛然として、可なりの時間を、私たちと一緒に思い出話に加わった。

「いい伯父さんだなあ。おれにも、こんな伯父がないものかなあ」

後々までも、集まると、その話が出た。この抱琴が、骨を折ってくれた新聞社を、私は結局敬遠したが、そこは、政治色の強い社だったから、もしもそこへ行っていたら、銭形平次を書く代りに、政治評論家になっていたかも知れない